1999年4月から6月に読んだ本

舞姫通信 / 重松清 (新潮文庫)

 色々な立場の人に展開する、生と死の物語。自殺という行為は果たして犯罪なのか、それとも権利なのか。ちょうど芸能人の自殺などもあって、時期的にはタイムリーな内容でした。個人的にはこういう生き方もありかな…なんて思ったらもう少し頑張れるかもと思ったり。この著者の本を読んだのは初めてでしたけど、大当たりでした。他のも読まなくては。

評価 ★★★★★

ホップ★ステップ★ダイナミックHTML / 井上健語 (エーアイ出版)

 ダイナミックHTMLについてのテキスト。分かりやすさ、サンプルの多さ、内容の量を考えるとこの本が一番良かったかな?。出版されたのも、もっとも最近でしたから。色々詰め込んでいるので、リファレンスとしてはちょっと使えないし、効果的に用いたwebデザインについてもう少し言及していればさらに良かったかも。

評価 ★★★

東京下町殺人景色 / 宮部みゆき (光文社文庫)

 東京の下町で起こったバラバラ殺人、それを捜査する刑事とその息子、怪文書と噂…といった話。この著者の得意な、子供の視点から見た事件を描いています。読みやすいんですけど、ちょっと話が薄いかな?。お手伝いのハナさんがいい味出してます。

評価 ★★★

<増補・改訂新版>環境保護運動はどこが間違っているのか? / 槌田敦 (宝島文庫)

 現在盛んに行われているリサイクル運動の本質と、その問題点を詳しく解説した一冊。僕も以前から「ちょっと違うんじゃない?」とは思っていて、きちんと論じられているのを読んでますます納得できました。著者の考えを基準にしているので、何でも嘘とか陰謀とか言い出すのはどうかなと思いましたが、本質としてはその通りだと思います。手段が目的になって、自己満足してしまうんですよね。まるで免罪符のように。

評価 ★★★★

ビフォア・ラン / 重松清 (幻冬舎文庫)

 この筆者のデビュー作。話の舞台はハッキリとは書かれていないのですが、おそらく私が大学時代を過ごした広島県呉市だろうと思うので、色々な舞台設定でも「ああ、あの辺りの事かな」と想像できて話に深く入り込めました。内容は高校3年生、将来について悩む時期の出来事を書いていて、こちらもなかなか良かったです。本当の自分は結局どっちなのかな…。

評価 ★★★★★

グイン・サーガ(65) 鷹とイリス / 栗本薫 (早川書房)

 今回のグインサーガは久しぶりに読み応えのある内容。物語はこれで一つの転換期を迎えることになるのかも。ナリスの独白は、彼の今までの言動を考えるとなかなか興味深い内容でした。覚悟を決めるというのはこういうことかも。あと、あとがきでの(笑)(爆)(大爆)の3段活用は止めて欲しいところ。筆者だけが盛り上がっていて、読者を置いてけぼりにしている印象があります。

評価 ★★★★★

もてない男-恋愛論を越えて / 小谷野敦 (ちくま新書)

 PC Watchの編集後記に書いてあったので、興味を引かれて読んだ一冊。恋愛の様々な状態を男性側から見て、それを近代文学や思想の中で、どのように考えられ、また変わってきたかを紹介しつつ、筆者の考えを述べるというスタンスで、評論と言うよりエッセイという感じ。私怨で書いたと筆者は言っていますし、いろいろ変な知識も増えます。私のようにそれだけを求めて読むと、ちょっと内容が難しいかな(^^;。

評価 ★★★

バトル・ロワイアル / 高見公春 (太田出版)

 プログラムという強制カリキュラムにより、ある孤島で殺し合いのサバイバルゲームをする事となった中学校の一クラス42人。主人公は、直前に殺された親友が好きだった女の子を守りつつ生き延びていたが、そこにまだどんな奴か分からない転校生が。彼は信頼できるのか、それとも…。

日本ホラー大賞で、強烈なブーイングを持って落選となった本書。確かにこの舞台設定、そしてこの中で繰り広げられる様々な殺し合いとその描写。これだけでもとんでもない本だと思うのですが、しかもそれを行うのが中学生ですから。例の神戸の事件などもあり、風当たりはかなり強かったようです。でも、読み終わって感じたのは、「可哀想だけど、いい話だな…」という事。愛とか友情とか信頼とか、そういうのがこの極限状態でどのように変わっていくか。ましてや中学生ですから、数々の過ちも犯してしまいます。確信犯ももちろんいるのですが、それらがこの舞台設定によって、ある程度当然、仕方ない、そんな風に受け止めることが出来るようになっています。かなり長い話なのですが、一気に読ませる事の出来る内容にもなっています。

生徒の中に超人的能力を持った者が多すぎるとか、最後がこの内容にしてはハッピーエンド過ぎのような気もしますけど、これだけ悲惨な内容なんですから、このロマンチックすぎる終わり方で丁度バランスが取れているのかな?。

評価 ★★★★★

地を這う虫 / 高村薫 (文春文庫)

 日陰の身でありながら、以前のプライドをそのまま保って生きていく男達を描いた短編集。私の中ではこの著者は長編なイメージがあったのですが、短い中でも彼らの性格、生き様を上手く描いているのはさすがといった所。テーマ的には同じ話なのですが、この中では「父が来た道」が良いです。下手にハッピーエンドにならずに、どうしようもない終わり方をしているところが。

評価 ★★★☆

リング / 鈴木光司 (角川ホラー文庫)

 映画化されて大ヒットしたり、ドラマ化もされたので断片的に予備知識もあって、今更読むのもどうかと思ったのですが、古本屋で見つけてつい買ってしまって(^^;。でも、さすがになかなか面白いです。タイムリミットに迫っていく中での謎解き、そして終末の展開と一気に読ませる力のある内容だと思います。

最後も何か怖い終わり方だと思ってたら…続きがあるんですね。

評価 ★★★★☆

らせん / 鈴木光司 (角川ホラー文庫)

 で、こちらが上のリングの続編。上では何だかよく分からなかった事に、フィクションとはいえ科学的根拠をつけています。で、分からないから怖い→分かってるだけにもっと怖いになってるといえばなってるんですけど、進化が云々とかDNAのコピーによる再生だとか言い始められたら、ちょっと話の趣旨が変わってきたみたいで。思念でDNAを変化させちゃうってのもちと…。おまけに、途中で悪役が入れ替わってるし(^^;。暗号解読の部分とかは良かったんだけど。

純粋にサスペンスホラーだった分、前作の方が面白いといっちゃあそうかな。まぁ、完結編である「ループ」まで読んでみないと、評価はしにくいかも。

評価 ★★★★

恋 / 小池真理子 (ハヤカワ文庫)

 直木賞を受賞した話だと言うことなので読んでみたのですが、それなりに面白かったです。それぞれの立場で愛し方ってのは変わるもので、他人にとっては禁断の恋に見えてしまっても当人達にとっては当たり前のことなのかも。そういうのはえてして脆いモノで、第3者を巻き込んで均衡を崩してしまうと、この話のようなことになってしまう。この悲劇的結末はあらかじめ決まっていたも同然かも。

後書きに書いてあったとおり、綺麗にオチを付けたのは確かに蛇足だったかな。

評価 ★★★☆

ノルウェイの森 / 村上春樹 (講談社文庫)

 古本屋で1冊100円で見つけなかったら読まなかったと思うのですが、読んでよかったです。高校の図書館にもハードカバー版があったのですが、その頃は文中での性描写の話を聞いて、そういう話なのかなと思ってしまい、結局読まなかったんです。

この年齢にしては他人の死というモノをそれぞれが背負いすぎのような気が。どうしても結果論になっちゃうし、それでも生き続けなくては。失ったモノより、得たモノの方が多い生き方が出来ればいいんですけど…。

こういう青春小説と言われるモノは、読んだ年齢によって受け止め方がそれぞれ変わってくるので、登場人物より若かりし頃に読んでいたら、また違った感想を持ったでしょうね。

評価 ★★★★☆

贋作師 / 篠田節子 (講談社文庫)

 昔の友人が巻き込まれた陰謀に自分も巻き込まれてしまい、正義感に目覚めてその真実を突き止めようとする話なのですが、主人公が何故そこまでする必要があったのかが分かりません。昔の男って訳でもないのに。

ゲイの友人が彼女を助けるのですが、社会的にいえば彼は変なはずのに、この登場人物みんなが何処か狂ってる物語の中では、一番まともな人間に見えるのは不思議。

評価 ★★★

聖域 / 篠田節子 (講談社文庫)

 関わった人間を破滅に導くといわれる小説家の、未完の原稿に魅せられた編集者が、続きを書いてもらおうとしている内に自分も巻き込まれて…ってな話。

結局、この彼女がどのような能力を持って、他人を癒すことが出来たのかが分からずじまいですけど、自分が心の中に秘めていた願望(理想)が、それを知らないはずの他人によって具現化された時、その夢(らしきもの)に依存してしまうのは仕方ないことかも。そうなる事はあり得ないと思っている分、余計に。

評価 ★★★☆

必殺 お捜し人(9) 世界の終末 / 小林めぐみ (富士見ファンタジア文庫)

 結構続いたこの話も、とりあえずこれで最終巻。最初の頃の話は良かったんだけど、終盤になって話をまとめようとし出してからはちょっと…。どこまで話を複雑にするかが、それまでのノリを考えるとちょっと難しいのかも。

僕としては、最初の頃の街の探偵団ってテンポの話の方が好きだったかな?。

評価 ★★★

グイン・サーガ(66) 黒太子の秘密 / 栗本薫 (ハヤカワ文庫)

 前巻とこの巻で、この物語の世界というのもが本当はどうなっているのか、それがはっきり読者に掲示される話でした。大風呂敷になりかねない気もしますけど。

自分の愛する者の命と、この世界と、どちらを取るかと聞かれたとき、愛する者の命だと即答できるスカールはさすが。草原の民とはいえ、なかなか言えませんよ。

古典的手法でクリスタルに戻ったナリスが、これからパロをどのように導くかが楽しみ。クーデターはあっさり成功しそうですから。

評価 ★★★★

黒い家 / 貴志祐介 (角川ホラー文庫)

 和歌山の保険金殺人の報道で、似たような話だって紹介されてましたけど、全然違うじゃないですか。人間関係とかは似てますけど、性格とかは全く違いますし。

病的な恐ろしさのある話だったけど、最後は相手の手の内がはっきり分かったので、その辺の描写でちょっと損をしてるかも。ギリギリまでバラさずに最後に持っていった方が個人的には良かったなぁ。

評価 ★★★★

AV女優 / 永沢光雄 (文春文庫)

 昔、本屋でハードカバー版を見つけて「こんな本もあるんだ…」と思いつつ、買うまでは至らなかった本がようやく文庫化されたので、さっそく購入。

この中でインタビューを受けているのは4年ほど前に活躍していたAV女優達。中には私と同じ年に生まれた人もいて、彼女たちが語っている半生は私のそれとはかけ離れていて、自分にとっては気に入らなくても、彼女たちに比べればましな方なのかなと思えてきます。

この中で私が知っているのは1/3ぐらい。丁度私がAVを借りて見るようになった頃からだけど、こういうことがあった上でAVに出ている彼女たちがいたんだなぁと思うと、何か複雑な気分。家庭環境が複雑な人がほとんどだけど、そういう中でも頑張って生きている彼女たちの話を読んでいると、自分もまだまだ頑張れるんじゃないかと思えてくる、そんな本です。

評価 ★★★★☆

夏の災厄 / 篠田節子 (文春文庫)

 局地的に発生した伝染病の恐怖と、それに立ち向かう人々を描いたパニックホラー。面白かったんだけど、原因か、対策か、どちらかがハッキリしていればよかったのですが、どちらも尻すぼみで終わってる感じがして…。

限られた情報の中で、混乱してパニック状態になる一般市民の感じはよく出てたと思います。確かに怖いですよ。

評価 ★★★★